創成科学研究科の佐伯 隆教授が企業との共同研究の成果をもとに作成した『静的流体混合装置の混合性能評価方法』が日本工業規格(JIS)として制定(官報公示)されました

創成科学研究科の佐伯 隆教授が企業との共同研究の成果をもとに作成した『静的流体混合装置の混合性能評価方法』が日本工業規格(JIS)として制定(官報公示)されました

(平成30年9月14日掲載)

創成科学研究科循環環境工学分野の佐伯 隆教授はアイセル株式会社(大阪府八尾市)との共同研究で静的流体混合装置(スタティックミキサー)の開発を行っています。スタティックミキサーは導管内部に特殊な形状のエレメントを設置した構造で、配管に取り付けるだけで流体を混合できる装置です。従来の撹拌槽よりも省エネルギー・省スペースな混合装置として注目され、現在も様々な商品が開発されていますが、十分に混合できたかを評価する方法が規定されていませんでした。佐伯教授は蛍光顔料を含んだ注入流体をスタティックミキサー上流で供給し、下流の管断面でレーザーシート光を照射することによって、注入流体の広がりを観察する実験(図2)を行い、得られた可視化画像から混合性能を数値化して示す混合指標を提案しました。この評価方法の開発は、平成27年11月に経済産業省によって制定された標準化活用支援パートナーシップ制度(提案企業:アイセル㈱、パートナー機関:㈱池田泉州銀行)の後押しを受け、さらに、同省の日本工業標準調査会標準第一部会において、新市場創造型標準化制度の活用案件として採択され、平成28年6月に佐伯教授を委員長としたJIS原案作成委員が発足しました。一般財団法人日本規格協会(JSA)のもと、委員によるJISの作成が進められ、平成30年5月18日に経済産業省で行われた日本工業標準調査会産業機械技術専門委員会で審議の後、8月20日にJIS B 8702として官報公示されました。佐伯教授は、「中小企業との共同研究が発端となり、上記二つの制度を活用して制定されたJISとしては日本で初めてのものです。経産省が支援を進めている『とがった(優れた)技術であり新市場の創造又は拡大が見込まれる』研究として認められたもので、今後は国際標準(ISO)の可能性も検討する予定です」と話しています。

なお、一般財団法人日本規格協会(JSA)については、日本規格協会ホームページをご覧ください。

図1 出版発行されたJIS規格票
図2 混合性能の可視化実験装置
図3 産業機械技術専門委員会が行われた経済産業省別館前で
写真左が佐伯教授、右がアイセル㈱の望月氏(本学博士後期課程を修了)