創成科学研究科の田中俊彦教授の研究グループが「日経エレクトロニクス主催パワー・エレクトロニクス・アワード2019」で読者賞を受賞しました

創成科学研究科の田中俊彦教授の研究グループが「日経エレクトロニクス主催パワー・エレクトロニクス・アワード2019」で読者賞を受賞しました

(令和2年1月29日掲載)

創成科学研究科電気電子工学分野の田中俊彦教授の研究グループが「日経エレクトロニクス(NE)主催パワー・エレクトロニクス・アワード2019」で読者賞を受賞し、12月6日(金曜日)に「赤坂インターシティコンファレンス」で開催されたNE主催「パワーエレクトロニクス・サミット2019」で授賞式ならびに受賞講演が行われました。

NEは、パワーエレクトロニクス分野のさらなる躍進を目指して、2017年から大学や高等専門学校の研究者を応援する「NE主催パワー・エレクトロニクス・アワード」を実施しています。パワエレ技術、パワエレ基盤技術、パワエレ応用技術に関する2年以内の発表のうち、従来にない発想による「革新性」と産業界で普及が見込める「実用性」を備え、産業や社会に進化をもたらす「産業インパクト」を与えることが期待できる研究の中から「最優秀研究賞」、「審査員特別賞」、「読者賞」が与えられます(1)。「読者賞」は表彰候補の6件から選考されて、受賞しました。

このたび受賞した研究は、「SiC採用の400kHz誘導加熱、Liイオン電池に混入した金属粉を検知」です。Li(リチウム)イオン電池には、陽極板と陰極板を分離する高機能フィルムであるセパレータが使用されています。Liイオン電池の発熱・発火事故が報道されますが、この発熱・発火は高機能フィルムの製造工程で歯車などの摩耗等により発生したステンレス(SUS304)の金属粉の混入が一因であると言われています。本研究では、SiC-MOSFETを用いた高周波誘導加熱により金属粉を加熱し、サーモグラフィックカメラで検知する新しい方式の工学的な有用性を明らかにしました。

この研究は、2014年からSIP/NEDO次世代パワーエレクトロニクスの助成の下で「SiC-MOSFETを用いた小金属加熱法とその応用に関する研究開発」として開始し、2018年に博士後期課程の学生であった司城卓也さんが米国オレゴン州ポートランド市で開催されたIEEE(米国電気電子学会)主催の年次会議ECCE2018で発表した論文が、このたびの「NE主催パワー・エレクトロニクス・アワード」の審査対象になりました(2)。

田中俊彦教授は、「今回このような賞を受けることができたのは研究室の学部4年生、博士前期課程および博士後期課程の学生さんが毎日夜遅くまで研究に取り組んでくれたおかげです。今後も、地方国立大学の教育職員の本務である教育研究に全力を注ぎ、電気電子工学分野における人材育成に貢献したい。」と話しています。

※研究内容は、日経エレクトロニクス10月号(2019年)、1月号(2020年)に詳しく掲載されています。

左から、日経エレクトロニクス編集長加藤雅浩氏、田中俊彦教授
(撮影:涌井直志、出所:日経エレクトロニクス)
受賞者講演の様子
(撮影:涌井直志、出所:日経エレクトロニクス)

参考文献

(1) 日経エレクトロニクス10月号

(2) T. Shijo, Y. Uchino, Y. Noda, H. Yamada, and T. Tanaka, “New IH Coils for Small-Foreign-Metal Particle Detection Using 400 kHz SiC-MOSFET Inverter,” in Conf. Rec. of IEEE Energy Conversion Congress and Exposition (ECCE), pp. 3602-3607, Sept. 2018.