学術資料館建設事業募金趣意書
山口大学工学部は、その前身である旧制宇部高等工業学校が昭和14年(1939年)5月22日に創設されてから、来年の平成21年で70年を迎えることになります。また昭和24年(1949年)に新制大学山口大学工学部として新たな出発をしてからも、ちょうど60年となり、古希と還暦を一緒に迎えるという記念すべき年になります。
この常盤台のキャンパスには現在、工学部学生・大学院学生・教職員合わせて計約3千人が教育・研究に勤しんでおり、西日本でも有数の規模を持つ知の広場となりました。前身の高等工業学校時代を含めて常盤キャンパスを巣立った卒業生、修了生は今や2万5千名に達し、国内はもとより国際的にも活躍しています。
さて,この70年に及ぶ教育・研究活動を経て、工学部にはかけがえのない蒐集資料や貴重な歴史的機器類が今でも数多くのこっています。これら貴重な学術資産を大切に保存し、承継していくことは大学の大きな責務といえます。中でも鉱物標本「苣木(すがき)コレクション」はその最たる蒐集資料です。この資料は、同窓生であり工学部長も務められた苣木淺彦先生(現山口大学名誉教授、東北大学名誉教授)が永年にわたって国内はもとより世界各地から精力的に蒐集されたものです。その中には今日ではもはや蒐集が不可能なものも数多く含まれており、まさに世界第一級の貴重な鉱物標本で、山口大学ひいては我が国の宝ともいえるものです。
この二万点におよぶ膨大なコレクションは苣木先生ご自身及び関係者の方々の熱い思いで奇跡的にも散在することなく永い間宇部市に保管されていましたが、この度「ふるさと」工学部に全て戻ってまいりました。
この記念すべき年を契機ととらえ、卒業生をはじめ学内外の皆様からも貴重な資料や機器類をご提供いただき、この苣木コレクションとともに、教育はもとより、世界の研究者の活動にも寄与できるように学術資料館を建設することといたしました。
また、近年は二酸化炭素による地球環境問題が深刻化しており、各地で緑化運動が進められていますが、工学部としても、この度の70周年記念事業をきっかけに、工学部を環境緑化発信地としてアピールするために「常盤の杜」構想を提案し、積極的に工学部の緑化計画を進めたいと思います。そのための第一歩として宇部市と姉妹都市であるオーストラリアのニューカッスル市で日本の桜と同じように市民に親しまれているジャカランダの木の植樹式、宇部市所蔵の彫刻のキャンパス内への設置も計画しています。
何卒この意義をご理解いただくとともに趣旨にご賛同いただき、本事業が無事遂行されるよう皆さま方のご協力を賜りますよう、衷心よりお願い申し上げます。