工学部研究紹介 研究詳細

パターン認識の新展開:最先端の医学分野でコンピュータが活躍し、患者の命を救う
肝臓の前がんLO,L1とG1,G2,G3の順で進行するがんの対比。高い発現量は赤色で、低いと緑色で表示。前がんとがんでは遺伝子の発現がきれいに分かれている。
肝臓がんは、難治性のがんの一つでその克服は重要な課題になっている。一般に手術後に約30%の患者さんの肝臓がんが再発する。再発を防ぐためにCTや超音波などの検査を定期的に行い、抗がん剤の投与を行う場合もある。抗がん剤は作用だけでなく副作用もあり、どの程度効果があるのかは投与してみないと分からない。もし、手術後に高精度で再発しないと予測できたら、CTや超音波の検査が不要になり、また苦しい抗がん剤の投与も不要となる。これは患者にとってこの上ない恩恵であり、その一方で高騰する医療費の抑制にもつながる。本研究室では、医学部との共同研究を15年間続けて遺伝子の検査で肝臓がんの再発を93%の高精度で予測することに成功した。その成果は世界的な論文誌であるLancetに掲載され、注目されている。この他に、カプセル内視鏡画像解析、うつ病などの精神疾患の遺伝子解析や医学応用のためのメダカの遺伝子解析も行っている。

浜本 義彦

Hamamoto Yoshihiko

研究関連キーワード
  • 統計的パターン認識
  • バイオインフォマティクス
  • 画像診断