工学部研究紹介 研究詳細

脂質集合体が形成する微小反応場とバイオリアクターを利用した物質生産
リン脂質集合体(リポソーム)の中に閉じ込められた複数の酵素の概念図。原料は、脂質がつくる膜を通過して、微小水相において生成物に変換される。
リン脂質分子の中には、安定な球体状に集合するものがあり、この球体の中には、体積10-21m3(牛乳パックの1018分の1=富士山を飴玉程度まで小さくすることに相当)くらいの微小液滴が形成されます。このような特殊な環境下に閉じこめられた生理活性物質は混み合った状態になり、通常の溶液系と異なる性質を示す場合があります。生細胞は、このような空間的な制約に由来する現象を上手く利用してさまざまな機能を発現しています。私たちは、各種生理活性物質を閉じこめた微小な反応器を精密に作製して、それらの特徴を解析する技術をもっています。また、化学工学的な手法を駆使して、何十兆個の微小反応器を用いて、実用的な濃度レベルの有用物質を得るための化学反応プロセス(バイオリアクター)の開発に関する研究も行っています。このような技術は、化学反応の精密制御のみならず、薬物の機能制御やバイオセンサの開発にも応用できると考えています。

吉本 誠

Yoshimoto Makoto

研究関連キーワード
  • バイオリアクター
  • 生体触媒工学
  • マイクロ・ナノバイオプロセス
  • バイオ生産プロセス