工学部研究紹介 研究詳細

セラミックス中の微細構造、原子・電子レベルの欠陥を制御して透明な電子材料を開発する
透明なセラミックス(左上の挿入写真は試料の外観:下の文字が透けて読める)を割った断面の走査型電子顕微鏡写真
私たちの身の回りには、ガラスや樹脂、宝石など単結晶と呼ばれる状態の物質を除くと、透明な固体材料はほとんどありません。これは、物体に入射した光がまず表面で反射し、さらに物体の内部に入った光も吸収や拡散を繰り返し、物体の外側にそのまま出ていかないためです。電子材料として広く使用されているセラミックス材料も、紛体を焼き固めたものなので、通常はもちろん不透明です。しかしながら、内部の微細な構造を制御すると、透明にできることがわかってきました(右図上部挿入写真)。この透明セラミックスの内部は、右図のように、100~200ナノメートルの大きさ(髪の毛の太さの数100分の1)の微細な粒により緻密化されています。さらに、不純物を意図的に添加し、原子・電子レベルでの欠陥を制御することにより、宇宙空間や潜水艦の窓材、白色LEDの高寿命化、透明磁石の実現など、応用や夢が広がっていきます。

甲斐 綾子

Kai Ayako

研究関連キーワード
  • 電気・電子材料
  • 無機材料創成・合成プロセス
  • 磁気共鳴
  • 格子欠陥