「第5回防災・減災講演会」が開催されました

「第5回防災・減災講演会」が開催されました

(令和4年3月31日掲載)

2022年3月9日(水)、WEBにて「第5回防災・減災講演会」(地域防災・減災センター主催、グローカル環境・防災学研究会共催)が開催され、大学、民間企業、その他一般から304名が参加しました。

講演会では国立研究開発法人産業技術総合研究所主任研究員の板場智史氏から、過去の南海トラフ地震については発生パターンや規模が多様性に富んでいること、次に起こる南海トラフ地震については、様々なパターンの地震が発生することを想定して被害予測が行われるようになったことが紹介されました。地震発生予測に関しては時間・場所・規模の正確な予測は困難であるが、通常と異なるスロースリップ(深さ30~40kmにおいて数日~数週間で数センチのゆっくりとした速度でプレート境界がすべる現象)を検出することで地震発生の可能性の高まりを知ることができる可能性があるため、ボアホールひずみ計等の観測装置を設置して観測を行っていることが紹介されました。また観測機器の小型化と既存未使用井戸の活用によりコスト・工期を縮減する等、観測地点を増やすための取り組みも示されました。

予測の取り組みが進む一方で、スロースリップが起こらない地震もあるなど地震予測には限界がある現実についても言及されました。地震発生後すぐに全員が避難を開始した場合に津波による死者数を大きく減らせるというデータ等も示され、住民自らによる減災対策が絶対に欠かせないことを改めて認識する非常に有意義な会となりました。

地域防災・減災センターHP:http://ds0n.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~cldpm/index.html

【講演内容】
講師:国立研究開発法人産業技術総合研究所主任研究員 板場 智史 氏
講演題目:「南海トラフ地震予測に向けた研究の現状と予測可能性」