工学部研究紹介 研究詳細

コンクリート構造物の火災後の診断と補修技術の開発
コンクリートの加熱後のひび割れ幅の変化
(単位mm)左:加熱直後、右:加熱後に1ヶ月水中養生
日本では建物火災は頻発生しており、出火件数は年間2.5万件前後で、全火災の57.9%を占めている(平成25年度版消防白書より)。コンクリートは、火災加熱を受けると、ひび割れが多く生じ、その性能が低下するため、コンクリート構造物の安全性と耐久性は著しく損なわれる。したがって、火災後のコンクリートの性能診断とひび割れ補修は極めて重要である。しかし、加熱されたコンクリートを適切に養生すれば、その性能がある程度まで回復できる。このため、火災後の修復はコンクリートの自己性能回復能力を生かした上で施すべきである。本研究では、まず非均質材料であるコンクリートに適用できる熱伝導率の簡易試験法を開発し、熱伝導率と圧縮強度の関係を定量化した上で、受熱したコンクリート部材の表面からの強度分布の推定方法を提案した。この推定結果は部材の耐力を精確に計算するために有用である。また、受熱したコンクリートの力学性能と耐久性の再養生による回復程度とその影響要因を解明している。なお、無機材料の表面塗布による性能回復の促進技術を開発した。現在、補修効果がコンクリートの含水状態の影響を受けず、強度の発見が早く、優れた耐火性があり、廃棄物を主成分としたひび割れの環境共生型無機補修材料と補修工法を開発している。

李 柱国

Li Zhuguo

研究関連キーワード
  • 構造材料
  • 建築工法
  • 維持・管理
  • 環境影響評価